
世界では様々なものが、産み出されては消えていきます。だれもすべてを把握できないほどで、その中で他人の記憶に留まるのは容易なことではありません。企業や団体が自分達の存在意義を伝えるために、ますますロゴマークを必要としています。
けれどロゴマークはあまりにも生活者の身近にあるために、作られ方や生まれた理由がそれほど認知されていません。そこでロゴマークについて、改めて学んで行くことにしましょう。
そもそもロゴマークとは

一個のリンゴの図柄が見えます。芯には葉が一枚残っていて、あまり食欲をそそらない色をしています。よく見ると一部に食べられたあとがあります。これは言わずと知れたapple社のロゴマークを説明したものです。ロゴマークとは、企業や商品が伝えようとしているイメージを図案化したものです。
ではapple社はどういったメッセージを、見ている人に伝えようとしているのでしょうか。創業者のスティーブ・ジョブズはロゴについて聞かれたときに「創造の果実、アップル。シンプルさは究極の洗練だ」と語っています。
シンプルで創造的な会社というのが、apple社の伝えたいブランドイメージなのでしょう。ロゴマークは主に3つの機能を満たすことを、求められています。ただ美しいだけではいけないのです。・企業の顔となること・消費者に愛されること
・構成員の団結を促すもの企業の顔というのはapple社のように、自分達がどういった考えを持っているのかを伝えるための機能のことです。消費者に愛されるというのは、企業として当然の要求です。企業と商品に愛着をもってもらうことで購買意欲を高め、商品を購入してもらいます。
構成員の団結というのは、社員が自分達の組織に愛着を持つためのシンボル機能のことです。
ロゴマークとロゴタイプの使われ方
ロゴマークはロゴタイプとマークを組み合わせたものと定義されています。ではロゴタイプとは、どういったものなのでしょうか。ロゴタイプはフォントとカラーによって構成されたデザインです。文字だけであることからわかるように、イメージの伝達には適していません。
自分達の名前を早く覚えてもらいたい企業が、主にロゴタイプを使用します。facebook社のロゴをご存じでしょうか。あれは青色の背景に白いklavikというフォントが使われただけの、シンプルなものです。企業や団体は自分の目的に合わせて、ロゴマークやロゴタイプを使い分けているのです。
ロゴマークの歴史
ロゴマークの歴史は古く古代にまで遡ります。
#ロゴの始まりロゴマークはシュメール人の円筒印章が始まりだとされています。円筒印章はメソポタミア文明でも使われ、その技術は硬貨にも転用されていきます。#産業革命と広告産業革命は様々な技術を発展させましたが、文字の世界も例外ではありません。
タイポグラフィと画像の統一が図られ、伝えることが目的だった文字に装飾が施され、表現の手段に用いられるようになりました。#大量生産と対抗運動ロゴデザインが大量に出回るようになりましたが、安易なものも増えていきました。
低質なデザインに抗うようにアーツアンドクラフト運動が盛り上がります。
彼らは職人の技術の再評価を促し、ここから斬新なロゴマークが生まれるようになりました。#現在のロゴマークとその拡大イギリスのビール会社であるBassBreweryの赤い三角形が、現在のロゴデザインの始まりだとされています。
なぜそういわれているかというと、ロゴマークが商標登録されたはじめての事例だったからです。ロゴマークは商業以外の場でも使われるようになりました。赤十字のマークなども立派なロゴマークです。文字と図柄で構成されたロゴマークは、言葉が伝わりづらい場所でこそ効果を発揮するのです。
ロゴマーク作成の流れ

ロゴマークはデザイナーがクライアントから依頼を受けたあと、4つの行程を経て作成されます。
#ヒアリングクライアントの話を直接聞き、相手が何を求めているのかイメージをつかみます。#デザイン案の作成ヒアリング内容に沿って、ロゴタイプやマークの組み合わせを決めます。書式や形状、カラーを組み合わせて、数多くのバージョンを作っておきます。
#プレゼンテーション
実際にロゴマークが使われるであろう状況を考慮して、クライアントにプレゼンテーションを行います。クライアントと意見交換して微修正をほどこします。#決定した後クライアントに了承されたら、ロゴマークの細かな使用規定をまとめた使用マニュアルを作成します。
正しい使用方法を定めることで、ブランドイメージを守ることができるのです。
ヒアリングで失敗しないコツ
デザイナーにとって、最初にクライアントと会うヒアリングはとても重要な行程です。ヒアリングの場で求められるのは、その場にいる全員が同じ思いを共有することです。それにはただ話を聞くだけでは駄目で、クライアントの活動や将来のビジョンまで、共感を持って受け止めなくてはなりません。
そうでなければ通りいっぺんのものができあがり、誰にも刺さりません。ロゴマークを作成する目的をよく思い出して、相手の感情に歩みよりましょう。十分にクライアントと意思疎通できた後は、ターゲットのしぼり込み作業に入ります。
ターゲットが十分に絞り込めていないと、誰に向けたものなのかわからなくなってしまうでしょう。ターゲットが絞れたなら、関連するキーワードをあげていきます。ターゲットが注意を向けるのはどんなワードなのか、常に頭に置いておくのです。
出てきたワードのどれを優先させるか決めたなら、ヒアリングは終了です。一度ロゴマークが定まったら簡単には変えられません。マークは企業の顔ですから、決定は責任を伴います。そういったことに心を配り、ヒアリングに臨みましょう。
ロゴマークの価格
ロゴマークの作成に支払われる料金は、1万円から100万円まで幅があります。料金に差があるのは、デザイナーが安い価格で仕事を引き受けているからでしょう。重要なはずのロゴデザインに、正当な料金が支払われているとは言いがたい状況です。
しかし良いロゴマークを求めるならば、それなりの対価を支払う必要があります。人の目を引くロゴマークの作成は、誰でも作れるものではありません。
まとめ
ロゴマークはこれからも企業にとって、重要なものであり続けるでしょう。もしかしたら同じくらい、消費者にとっても需要なものになって来る可能性があります。顧客の消費行動がさらに倫理的になれば、企業の持つ理念への注意も高まってくるでしょう。
ロゴマークは消費者と企業を繋ぐものとして、存在感がより増していきます。なぜならロゴマークには、もっとも企業の伝えたいことがつまっているのですから。